新薬開発の流れや看護師の治験との関わり

新薬として認められ販売可能になるまでは、およそ9年から17年かかります。そのプロセスは、基礎研究(2、3年)、非臨床試験(3年から5年)、臨床試験(3から7年)、承認申請および審査(1年から2年)の4段階あります。

まず基礎研究では、薬の候補となり得る成分を精製することから始まり、その物質の構造や性質などを研究し新薬としての可能性を探ります。続いて非臨床試験では、動物実験や人工的に作り出した細胞などを用いて、その成分の有効性や安全性をくまなく調べていきます。
そして、非臨床試験を通過した薬は3段階目の臨床試験に進み、人への有効性や安全性を確かめるための「治験」が行われます。治験の被験者となるのは、事前に同意を得た健常者や患者さんです。
その後、厚生労働省へ新薬として申請し許可が降りて、初めて医薬品としての製造や販売が可能になります。このように新薬開発には、長い時間と多大な費用がかかります。

看護師は、治験コーディネーター(CRC)や臨床開発モニター(CRA)として働くことで、新薬開発に欠かせない治験に携わることができます。これまで培ってきた専門的知識や現場で養われたコミュニケーション力は、治験業界でも重宝されます。
特にCRCは、製薬会社と治験に協力してもらう医師とのスケジュール調整や、被験者への説明など現場での業務も多いため、看護師としてのスキルと経験が役立ちます。
CRAは、どちらかというと新薬開発企業側の立場で、治験が規定通りに進められているかのモニタリングやデータの回収などを行います。

このように看護知識を活かせる新薬開発の現場は、看護師の間で人気の転職先となっています。